
「エムフェイスを受けるなら、ボトックスは必要ないですか?」
「エムフェイスは筋肉を動かす治療なのに、筋肉の動きを弱めるボトックスと一緒に受けても大丈夫なのでしょうか?」
診察では、このようなご質問をいただくことがあります。
たしかに、エムフェイス(EMFACE)は顔の筋肉を刺激する治療、ボトックスは筋肉の働きを弱める治療なので、一見すると「反対のことをしている」ように感じるかもしれません。
しかし、顔にはたくさんの表情筋があり、それぞれ働く方向が異なります。
顔を上方向へ動かす筋肉もあれば、口角やフェイスラインを下方向へ引く筋肉もあります。
そのため大切なのは、顔の筋肉を一律に「強くする」「弱くする」ことではありません。
どの筋肉にはしっかり働いてほしいのか。 どの筋肉の働きは少し抑えたほうがよいのか。
顔全体のバランスを見ながら考えることが重要です。
エムフェイスとボトックスは、それぞれ異なる方向から表情筋へアプローチできるため、状態によっては組み合わせることで、よりバランスの取れた治療計画を立てられることがあります。
この記事では、エムフェイスとボトックスの違い、併用を検討する理由、同日施術、向いている方・向いていない方について、当院で実際に診察するときの考え方も含めて解説します。
エムフェイスとボトックスは何が違う?
まずは、それぞれの治療が何を目的としているのか整理してみましょう。
エムフェイスは「顔面筋+皮膚」へアプローチする治療
エムフェイス(EMFACE)は、高強度の電気刺激であるHIFESと高周波(RF)を組み合わせた美容医療機器です。
HIFESによって表情筋を反復して収縮させながら、RFによる熱エネルギーを皮膚やその周囲の組織へ加えます。
特に額や頬など、顔を上方向へ動かすことに関係する筋肉へのアプローチが特徴です。
美容医療では皮膚や脂肪に働きかける治療は数多くありますが、エムフェイスは「表情筋」という層も治療対象として考えられる点が特徴のひとつです。
一方で、エムフェイスはヒアルロン酸のように失われたボリュームを補う治療ではありません。また、骨格そのものを変化させる治療でもありません。
そのため、「たるみが気になる」という同じお悩みでも、その原因によって向き・不向きがあります。
ボトックスは「働きすぎている筋肉」を調整する治療
ボトックス(ボツリヌストキシン治療)は、神経から筋肉への信号を一時的に弱めることで、狙った筋肉の収縮を抑える治療です。
額や眉間、目尻などの表情じわに使う治療としてご存じの方も多いと思います。
しかし、ボトックスの役割は「シワを目立ちにくくすること」だけではありません。
顔の筋肉がどちらの方向へ組織を引っ張っているかを考え、下方向への力が強すぎる筋肉を適度に弱める目的で使用することもあります。
例えば、
・顎の梅干しジワに関係する「オトガイ筋」
・口角を下方向へ引く「口角下制筋」
・フェイスラインを下方向へ引く作用を持つ「広頸筋」
などです。
こうした筋肉の働きが強い場合、適切にボトックスで調整することで、口元やフェイスラインの見え方が変化する可能性があります。
もちろん、皮膚そのものを物理的に持ち上げる治療ではありません。
なぜエムフェイスとボトックスの併用を検討するの?

私が美容治療の診察で大切にしているのは、「たるみ」という一言だけで治療を決めないことです。
顔は一枚の皮膚だけでできているわけではありません。
大きく分けても、
・骨格
・脂肪やその他の軟部組織
・筋肉
・皮膚
といった複数の層によって形作られています。
さらに、骨格の形、脂肪の量や位置、筋肉の厚さや動き、左右差は一人ひとり異なります。
そのため、自然に見える変化を目指すのであれば、今のお顔のどの層が見え方に影響しているのかを分けて考えることが重要です。
その中でも「筋肉」という層に注目すると、エムフェイスとボトックスには異なる役割があります。
エムフェイスでは、主に顔を上方向へ動かす筋肉への刺激を行います。
一方でボトックスでは、必要に応じて顔を下方向へ引く筋肉など、過剰に働いている筋肉の力を弱めます。
つまり、
上方向へ働く筋肉には働きかける。 下方向への牽引が強すぎる筋肉は適度に弱める。
という、異なる方向からのアプローチを組み合わせられるのです。
このため、エムフェイスとボトックスは「どちらか一方を選べばよい」というよりも、お顔の状態によっては補完的に使いやすい組み合わせだと考えています。
ただし、「2つを併用すれば必ず効果が高くなる」という意味ではありません。
必要のない筋肉までボトックスで弱めたり、適応のない方へエムフェイスを行ったりしても、理想的な結果につながるとは限りません。
重要なのは、その方の筋肉の動きを診察したうえで治療することです。
顔の筋肉を「ハンモック」のように考えてみる

患者さんに表情筋のお話をするとき、私は顔の筋肉を「ハンモック」に例えることがあります。
年齢を重ねると、変化するのは皮膚だけではありません。
脂肪の位置や量、骨格的な支持だけでなく、顔面筋にも厚みや形態、位置、組織の性質などさまざまな変化が起こります。
イメージとしては、ピンと張られていたハンモックの布が少したわんだり、片方から強く引っ張られたりするような状態です。
ここで注意したいのは、「年齢とともに顔の筋肉がすべて弱くなる」という単純な話ではないことです。
筋肉によって加齢変化の仕方は異なり、さらに普段の表情の癖によってもバランスは変わります。
例えば、顔を上方向へ動かす挙上側の筋肉の働きが十分でない一方で、口角や下顔面を下方向へ牽引する筋肉の影響が相対的に目立つ方もいます。
そのような場合には、
エムフェイスで挙上側の筋肉へ働きかけながら、必要な部位にはボトックスを使って下方向への牽引を調整する
という治療計画を考えることがあります。
表情筋全体を一括して「鍛える」「弱める」のではなく、筋肉同士のバランスを見ることがポイントです。
ボトックスは「表情じわをなくすだけ」の治療ではありません
「ボトックスをすると顔が動かなくなりそう」
「不自然な表情になるのが心配」
というご相談もよくあります。
ボトックスで自然な表情を保つために重要なのは、単純に注入量を少なくすることだけではありません。
私自身は、どの筋肉の、どの動きを残し、どの動きを弱めるのかを考えることがより重要だと考えています。
例えばオトガイ筋が強く収縮していると、顎に梅干しのようなシワができるだけでなく、下唇から顎周囲の動きにも影響します。
口角下制筋は名前の通り口角を下方向へ引く筋肉です。
また、首に広く存在する広頸筋は、下顔面やフェイスラインを下方向へ牽引する働きを持っています。
こうした筋肉の活動が強い方では、ボトックスによって適度に調整することで、フェイスラインや口元がふんわり上向きに見えることがあります。
一方で、下顔面には多くの筋肉が密集しています。
効かせる範囲や量が適切でなければ、笑いにくさ、口元の左右差などにつながる可能性があります。
そのため当院では、「たくさん打てば効く」という考え方ではなく、必要な筋肉へ必要な量を使うことを重視しています。
当院では「骨格・脂肪・筋肉・皮膚」を分けて診察します
例えば「ほうれい線が気になる」というお悩みひとつをとっても、原因は同じではありません。
頬のボリュームロスが大きい方。
骨格的な支持が少ない方。
皮膚のゆるみが目立つ方。
頬や口元の表情筋の動きが強く影響している方。
複数の原因が重なっている方も少なくありません。
そのため診察では、正面のお顔だけを見るのではなく、斜めや横からの輪郭、左右差、安静時と表情を作ったときの動きなども確認します。
そのうえで必要に応じて、
・エムフェイス
・ボトックス
・ヒアルロン酸
・その他の治療
から治療方法を考えます。
すべてを組み合わせればよいわけではありません。
例えば明らかなボリュームロスが主な原因であれば、筋肉への治療だけでなくヒアルロン酸などを検討したほうがよい場合もあります。
反対に、ボリュームを足す必要性がそれほど高くない方に、無理にヒアルロン酸をおすすめすることもありません。
無理に治療をすすめるのではなく、必要な治療を一緒に整理します。
これが当院で大切にしている考え方です。
顔の筋肉には個人差があります。必要に応じてエコーでも確認します
表情筋は非常に薄い筋肉が多く、筋肉の厚みや位置、左右差には個人差があります。
同じ「口角下制筋」という筋肉でも、教科書の図とまったく同じ位置・形をしているとは限りません。
また、普段の表情の癖によって筋肉の発達にも左右差が生まれます。
当院では、まず視診・触診を行い、実際に眉を上げる、笑う、口角を下げる、顎に力を入れるなど、表情を動かしていただきながら筋肉の働きを確認します。
さらに必要な場合には、エコーを使って筋肉や周囲の解剖を確認します。
ボトックスでは注入する筋肉や位置を検討する際に、エムフェイスではパッドを配置する位置を考える際に、解剖を意識することが重要です。
決められた場所へ全員同じように治療するのではなく、その方の表情や骨格、筋肉の動きに合わせて治療計画を立てることを大切にしています。
エムフェイスとボトックスは同日にできる?

当院では、診察上問題がなければ、エムフェイスとボトックスを同日に施術することも可能です。
特に、
「エムフェイスで顔全体の筋肉へアプローチしたい」
「同時に顎や口角、フェイスラインなど、下方向へ引く筋肉も調整したい」
「表情じわのボトックスも一緒に受けたい」
という方では、同日に治療を行うことがあります。
当院のカスタムボトックスは50単位を、おまかせまたはご希望の部位に合わせて配分する治療です。
エムフェイスとカスタムボトックスを同日に受けられる場合には、同日施術の割引もご用意しています。
ただし、全員に同日治療がおすすめというわけではありません。
過去のボトックス治療歴、現在の筋肉の動き、左右差、治療したい部位によっては、治療時期を分けて変化を確認したほうがよい場合もあります。
診察時にその方に合う治療タイミングをご提案します。
エムフェイスとボトックスの併用が向いている可能性がある方
次のようなお悩みがある場合には、エムフェイスとボトックスの併用を検討することがあります。
・顔全体の下方向への印象が気になってきた
・口角が下がって見えることが気になる
・顎の梅干しジワが目立つ
・フェイスラインの見え方を整えたい
・表情じわと顔全体の印象を一緒に相談したい
・ヒアルロン酸でボリュームを増やす以外の治療も検討したい
・ボトックスで表情を止めすぎることには抵抗がある
・自分の骨格や筋肉に合わせて治療を考えてほしい
ただし、実際の適応は診察によって判断します。
エムフェイス+ボトックスだけでは向かないケースもあります
美容医療では、ひとつの治療ですべてのお悩みを解決できるわけではありません。
例えば、
・皮膚の余りが強い
・脂肪量が多い
・明確なボリュームロスがある
・骨格的な支持不足が大きい
・筋肉以外の要因がお悩みの中心になっている
といったケースでは、エムフェイスとボトックスだけでは希望する変化が得られない可能性があります。
ヒアルロン酸などによるボリューム調整や、他のデバイス治療などが適している場合もあります。
だからこそ「エムフェイスを受けたい」「ボトックスをしたい」と施術名から考えるだけでなく、そもそも何が今の見え方を作っているのかを診察することが重要です。
エムフェイス・ボトックスのリスクと注意点
エムフェイスの主なリスク・副作用
施術中には、顔の筋肉が強く収縮する感覚や熱感があります。
施術後には、
・一時的な赤み
・熱感
・違和感
・筋肉痛のような感覚
・一時的な腫れ
などが生じる可能性があります。
症状の程度には個人差があります。
また、エムフェイスは比較的新しい治療であり、短期〜中期の臨床研究は報告されていますが、長期間にわたるデータについては今後さらに蓄積が必要です。
ボトックスの主なリスク・副作用
ボトックスでは、
・注射部位の痛み
・赤み
・腫れ
・内出血
・頭痛
・一時的な筋力低下
・左右差
などが生じる可能性があります。
治療部位によっては、眼瞼下垂、眉毛の位置の変化、笑いにくさ、口元の左右差、嚥下や発声への影響などが起こる可能性もあります。
特に下顔面への治療では複数の筋肉が近接しているため、注入部位や量の判断が重要です。
当院では、自然に見える変化を大切にし、必要以上に筋肉の動きを抑えないことを重視しています。
名古屋でエムフェイス・ボトックスを検討されている方へ
エムフェイスとボトックスは、「どちらの治療が優れているか」を比較するものではありません。
大切なのは、
今のお顔では、どの組織が見え方に影響しているのか。 どの筋肉には働いてほしくて、どの筋肉の働きは少し抑えたほうがよいのか。
を考えることです。
当院は名古屋市千種区、覚王山・本山エリアから通院いただきやすい完全予約制の美容クリニックです。
医師がカウンセリングから施術まで一貫して担当し、骨格、脂肪、筋肉、皮膚、左右差を確認しながら治療方針を考えます。
注入治療を専門的に行っており、必要に応じてエコーを使いながら解剖を確認します。
エムフェイスだけがよいのか。
ボトックスを組み合わせたほうがよいのか。
ヒアルロン酸など別の治療が適しているのか。
あるいは、今は治療をしなくてもよいのか。
無理に治療をすすめるのではなく、必要な治療を一緒に整理します。
不自然な仕上がりを避けたい方や、「自分の場合は何をしたらよいのか分からない」という方も、まずはご相談ください。
よくあるご質問
Q. エムフェイスとボトックスを一緒にしても意味がありますか?
それぞれ役割が異なるため、お顔の状態によっては併用を検討します。
エムフェイスでは主に挙上側の表情筋や皮膚へアプローチし、ボトックスでは必要に応じて下方向へ引く筋肉や、過剰に働いている筋肉の活動を調整します。よって、上手に使うとお互いの効果を強めるような作用も期待できます(投与する部位や適応を間違えると逆の効果が出る場合もあります)
ただし、すべての方に両方の治療が必要なわけではありません。
Q. エムフェイスとボトックスは同日にできますか?
当院では、診察上問題がなければ同日施術が可能です。
カスタムボトックス50単位とエムフェイスを同日に受けられる場合には、同日施術の割引設定があります。
Q. エムフェイスとボトックスはどちらを先にしたほうがよいですか?
すべての方に共通する「必ずこの順番」というルールがあるわけではありません。
治療する部位、過去のボトックス歴、筋肉の強さや左右差などを見ながら判断します。
Q. エムフェイスを受ければボトックスは必要なくなりますか?
必ずしもそうではありません。
エムフェイスとボトックスでは治療目的が異なります。
表情じわや、下方向へ引く筋肉の働きが強い場合には、エムフェイスとは別にボトックスが適している可能性があります。
Q. ボトックスでフェイスラインを上げることはできますか?
広頸筋など、下顔面を下方向へ牽引する筋肉の働きを適切に調整することで、フェイスラインがすっきり、あるいはふんわり上向きに見える可能性があります。
ただし、皮膚や脂肪そのものを持ち上げる治療ではないため、適応は診察によって判断します。
Q. ヒアルロン酸も一緒に必要ですか?
必ずしも必要ではありません。
頬やこめかみなどのボリュームロス、骨格的な支持不足が見え方に大きく関係している場合には、ヒアルロン酸が適していることがあります。
エムフェイス、ボトックス、ヒアルロン酸はそれぞれ治療する層や目的が異なるため、診察したうえで必要性を判断します。
費用について
当院の治療はすべて自由診療です。公的医療保険は適用されません。
エムフェイス(EMFACE)
治療内容
HIFES®とRF(高周波)を用いて、顔面筋および皮膚等へアプローチする治療です。
費用
・EMFACE:1回 79,000円〜前後(モニター料金あり)
主なリスク・副作用
施術中の熱感、筋収縮に伴う不快感、施術後の赤み、熱感、筋肉痛、圧痛等が生じる可能性があります。症状や程度には個人差があります。
ヒアルロン酸注入
治療内容
ヒアルロン酸製剤を皮下・深部組織等の必要な部位へ注入し、凹み、ボリューム、輪郭等を調整する治療です。
費用
本数により変動 1本 70,000円〜前後(モニター料金あり)
主なリスク・副作用
疼痛、腫脹、赤み、内出血、左右差、凹凸、硬結、感染、アレルギー反応等が生じる可能性があります。
まれではありますが、血管内への誤注入や血管圧迫等による血流障害、皮膚壊死、視覚障害等の重篤な合併症が報告されています。
使用する製剤について国内未承認製剤、または承認された使用目的・方法とは異なる使用を行う場合には、対象となる製剤に合わせて、未承認医薬品等に関する必要事項を記載します。
*
当院で使用するボツリヌストキシン製剤は、厚生労働省の認可を受けたアラガン社製品の国内正規品(※並行輸入品ではない※)を使用しています。表情じわ、フェイスライン、エラ、肩、脇汗など、症状やご希望に応じて医師が適応を判断します。
EMFACE(エムフェイス)は、HIFES(高密度焦点電磁刺激)とRF(高周波)を組み合わせ、表情筋と皮膚・結合組織へ同時に働きかける医療機器です。当院では、国内認証を受けた医療機関専用機器を使用しています。諸外国においてはFDAの認可を受けています。EMFACEの入手経路については、国内正規販売代理店を通じて導入しています。
いずれの治療も自由診療であり、公的医療保険は適用されません。
治療効果や持続期間には個人差があり、すべての方に同じ結果を保証するものではありません。
施術の適応、使用する製剤・機器、治療部位、回数については、医師が診察のうえで判断します。
*

監修:KEEVA CLINIC 院長。美容注入治療を中心に、ヒアルロン酸・ボトックス・肌育治療・機器治療を組み合わせた自然な治療設計を行っています。診察では、骨格、脂肪、靱帯、表情、過去の治療歴を確認し、一人ひとりのお顔に合わせた治療提案を大切にしています。
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